【リポート②】 チャレキッズ&ゆあしっぷコラボセミナー《 働くをかんがえる〜博多ポチ丸氏〜 》
エアブラシパフォーマンス
ここからはエアブラシを使ったパフォーマンスをしていただきながら、会場の質問に答えていただきたいと思います。
エアブラシのデザインのテーマは自分で考えますか?お客様より伺いますか?
ご要望を聞くことはある。思い出のものとか。
描いた作品に詩をつける、ということもやっていたので、その方を見てインスピレーションで描く。
共通のテーマとして、「夢を叶える」が伝わるような作品作りを心がけている。
絵は毎日描いているので、だれでもうまくなる。
お客さんは、絵かきは何でも描けて当然と思っている。
そのレベルは必要。
だから僕もこの世にある見たことのあるものは何でも描ける。
お客様からは無茶苦茶なことを言われることもしばしば。
「メルヘンなやつかいて」とか「1,000円くらいでなんかすごいの描いて」とか。
1,000円くらいで。。。
お客様のメルヘンって何かな?
僕はビジネスでやっている。
そこでの悩みは、生徒さんも同じだと思いますが、
絵を仕事として見られない。
テキトーに書いてよ。
無料で書いてよ、そう言われる。
そういうとき、言う言葉は、、プロでやっているので、
駆け出しの頃、、ちょっと書いてと言われたとき。
らーめん食い逃げすると?
アーティストは言わない事が多い。
しっかり伝えて、、、ビジネスとしてやっているわけなので、、
納得させることが大切。
お客様は知らないだけ、怒る必要がない。
特性でもあるが、すぐに腹を立てる。
自身の障がいについて、診断をうけられたキッカケは?
スクールで多くの方にビジネスについてやエアブラシについて伝えている。
その中には発達障がいのあるお子さんも多数通っている。
ある日、その子のお母さんから、「ポチもうちの子にとても似てるから、一度受診してみたら?」と言われた。
僕は信頼している人の話は聞くようにしている。
そのお母さんもその一人だった。
だから受けた。
結果は、ADHDとアスペルガーとの診断。
「だろうな」と思った。
これまでのアドバイスで、印象に残っている言葉は?
全てです。
モチベーションの上げ方、自分の信じ方、夢の叶え方、目標の持ち方、
すべて、色んな人から教わった。夫々の言葉が大切だった。
そして、そのために会いに行ったし、お金も払ったし、言われたことをやっていった。
彼らに共通していることは、「夢を否定をしない」ということ。
叶えられていない人のところに行くから「夢なんて叶えられないよ」と言われる。
叶えている人のところに行くと「夢は叶うよ」と言われる。
だから、自分から出会いに行かなくてはいけない。
自分から「出る」から「会える」。だから「出会い」なんだと。
自分から求めないと、人も情報も目標もキッカケにも出会えない。
休みの日はなにしてますか?
基本的に休みはない。
そして、ある意味、毎日が休みでもある。
そんな暮らし、どうやったらできるんですか?と聞かれる。
その時は、「好きなことを見つけることが大切」と答えている。
そして、それを仕事にすればいい。
好きなことで褒められる、喜ばれる、対価をいただける。こんなに幸せなことはない。
どんなことでもいい。
例えば、僕の友達にパチンコが好きなやつがいて、今、パチンコの実況でご飯を食べている友人がいる
ただ好きなだけで、働きもせず、ギャンブル三昧で借金だらけになっていたら、それは認めてもらえないが、
それで食べていけたら、何の問題もなくなる。
ぼくがもしニートで、親のスネをかじっていたら。
どんなにエアブラシがうまくても何もいえない。
でも、僕は絵で食べて、絵で家族を支えている。
そうなっていったら、何も言われない。言わせない。
お金をしっかり稼ぐことで、障がい者ではなくなる。
経済的な自立、サラリーマンの皆さんよりも稼ぐ。
そうすることで保護者の心配もなくなる。
だから、障がい者であっても、いや、障がい者だからこそ、しっかりと稼いで周りの人を喜ばせ、安心させることが大切だ。
世界的に有名なアーティストで好きな人は?
ピカソ。
なぜなら、生きているうちに売れたから。
ゴッホは死んでから売れた。
でも、生きているうちに売れるということが大切だ。
アートが売れるのには時間がかかる、そんなことを言うからだめなんだ。
もっとファンづくりやマーケティングについて、コミュニティづくりについての勉強をアーティストもするべきだ。
自分で稼げるようになるために、小中学生の頃からやっておくと良いことは?
僕の友達は全員社長・年収3000万くらい・
共通しているのは、お金の稼ぎ方を子供の頃から知っている。
バイクをモバオクで仕入れて、直して、高く売っていた。
教育の中ではそういった事は教えくれない。
それは自分から学んでいくしかない。
僕の場合は、自分のとくせいから学校に馴染めず、別の場所での友人がそういうことを教えてくれた。
例えば、ある日、友人が「ピンはねってしってる?」という会話が始まる。
社長が15,000円で受けた仕事を回して、自分がやったら8,000円。社長は何もせずに7,000円ゲット。
だったら自分で撮ってきて、15,000円得たほうがいいよね。
そんな話を聞かされていた。
ただ、働いてお金を稼ぐと行ってもいくつか種類がある。
・絶対必要なことで、受け取るお金と。
・奪って取るお金
・感謝されて受け取るお金
僕は、感謝されて受け取るお金を得ていきたい。
そのための工夫や仕組みをいつも考えている。
起業したいという気持ちがあるが、どうするのが良いか?
参加者の方からの質問で、「現在障がい者雇用枠でサラリーマンをしているが、気持ちのどこかで“起業したい”という気持ちがある」という方から
どうすればよいか、という質問が来た。
特例子会社で正社員としての安定した立場もありがたいのだが、実は起業もしたく迷っている
今の職場では支援もあるのでなんとかやっている。
ただ、このまま65歳まで行けるのかもしれない、、と思いながらも、「それでいいのか?挑戦しなくてよいのか?」という自分もいる。
この質問に、ポチ丸さんからは、
解決策は、「サラリーマンしながら始める」ことという提案を頂いた。
副業として、リスクを少なくしてやっていく。その副職の給料を越えたら、会社辞めていいのではないか。
僕のやり方は、相当リスクがある。向き不向きがある。
僕の場合はこのやり方が合っていた。
ただ、企業についてはやり方や答えはいくらでもある。
全くリスクがない形、はないと思うが、その大きさはいくらにでも減らせる。
以前同じ質問をされていたら、「さっさとやめて路上からやればいいじゃん!」と答えていた。
ただ、やらない人はやらない。
自分でブレーキを掛けてしまう。
だからといって、やり方を共用すると、その子の良さを潰してしまう。
自分も強要されたとき、いやだったので。。。。
ただ一つ、やりたいなら、「期日」は決めたほうがいい。
「いつまでにこれをやります」ということを決めないとイケナイ。
決めない人はやらない。
僕はやったほうがいい、と言われたことはかなりやってきた。
その上で「やってみたんですけどできなかったんですよね」と聞きに行く。
すると「お前やったのか、珍しいやつだな」と面白がられる。
遠慮しないので話を聞く。普通の人は遠慮する。
こんな事聞いたら失礼かな、という思いがブレーキを掛ける。
僕の場合は特性もあり、気にしない、気にできない。
それが、プラスに働いてる。
博多ポチ丸氏×ゆあしっぷ桑原代表・トークセッション
つづいては、NPO法人発達障がい者就労支援ゆあしっぷの代表理事 桑原由美子氏とのトークセッションです。
桑原
ポチ丸さんのお話を聞いていて、感心するばかりなんですが、発達障がいのある方の多くは、そんなにストイックに挑戦できない気がするんですが、
同じように発達障がいのある生徒さんはストイックだったりするんですか?
ポチ丸
僕の中ではストイックという感覚はないです。
周りがそういう人であれば、それがストイックではなくなる。
自分のやっていることが大好きな場合、どれだけやってもストイックではなくなる。
桑原
路上でやっているときはどんなふう?
ポチ丸
毎日日銭を稼ぐために一生懸命やっていた。
嫌なこともたくさんあった。
酔っぱらいに絡まれたり。警察が来たり。
何があったんだ?頑張れよ、という人もいた。
一つの作品を1円で買う人もいれば、10万円くれた人もいた。
良いときは一日16万円売り上げた。
お金の価値って、人による。僕も学生時代の感覚からするとずいぶん違う。
そして、その時の心の持ち方でも変わる。
話を聞かせてもらった社長さんなどがおっしゃっていたお金に関する印象的な言葉は「プラスマイナスゼロ」ということ。
何に価値をおいているか、自分は人を喜ばせてお金をいただきたい。
今日のセミナーも僕にとっては挑戦。
僕の話でみなさんが笑顔になったり、勇気をもらえたりしたと言ってもらえると嬉しいから。
実はいま、育ての親である祖父が危篤になっている。
そばに居てあげたい、という気持ちもある。
でも、僕にとっては、今のこの挑戦も大切で、きっと祖父もそんな僕であってほしいと思っているはず。
もし祖父の病状のことで今日のセミナーをキャンセルしたりしたら、きっと祖父に叱らる。「俺のせいにするな」と。
祖父には言葉に表せないくらい助けてもらい、迷惑をかけた、感謝しても仕切れない。
だからこそ、人を喜ばせるために頑張ることが祖父の思いに報いることにもなると思っている。
特性からくる“苦手さ”への対応
桑原
収入源を複数設けているというお話でしたが、特性のある方の中には、細かな作業や管理が苦手な方も多いかと思いますが、
お金の管理などはどのように?
ポチ丸
僕の場合は「そこ」が得意。
「そこ」とは何かというと、「苦手なことは人にお願いする」、という意味。
お願いできる人を作ること、そこにがすごく得意。
ビジネスの面でも、新たな手がかりを得るとき、通常のルートからではなく、トップと直接出会い、関係を築いて行く。
トップとの人間関係があって、そこから「お願いします」と言うことで普通入れないと言われているような案件も可能になる。
それは、大型商業施設や閉鎖的なお祭りへの出展など。
思うに、多くの方が「障がい」ということを気にしすぎている。
「神様からのギフト」、という考え方もある。
もちろん問題を起こしてしまったり、大変なこともあるが、その事により得られた出会いもある。
万人に好かれることは難しい。
そこを手放してしまえば、本当に楽しい。
僕のこと嫌いな人はいっぱいいる。
でも好きになってくれる人もいる。
世の中の人の殆どは無関心。
僕のことなんて誰も知らない。
好きとか嫌いとかで悩む必要はない。
桑原
とても、胸のすくお話でした。
私も言いたいことは言ったほうが良いのではないか、と思いました。
ポチ丸
言ったことで踏ん切りもつくこともある。
フラれたから次にいける、ということもある。
マイナスなこともプラスに考える。
そういう考え方を身につけないと自分が苦しくなる。
こうみえても、実はメンタル面がすごく弱い。
桑原
マイナスをプラスに変えられるようになったのは?
ポチ丸
それは、高いお金を払い、セミナーに通い、社長に聞いて勉強したから。
最初はこうではなかった、むかしは「なんで俺をわかってくれないんだ!」という考え方だった。
「そりゃわかってくれるようなことをしてないじゃん」ということ。
超有名人になった気になったかもしれないけど、全然みんな君のことなんて知らない。
だから、まずは自分を知ってもらうこと、そのためにSNSなどを活用してやっていく。
桑原
会社経営する上で必要なアート活動以外でやっていることは?
仕事の経理などの面については税理士にお願いしている。
費用はかかるが、その分稼いでいく。
それと、僕のことをわかって、プレゼンしてくれる人を必ず作っていた。
人とは違うということをプラスに感じてくれる人を作っていた。
僕の場合、仲間はずれにされていた友人たちとの出会いが大きかった。
おすすめです。
ターニングポイントについて
ここで、会場から質問が。
「聞いてて思ったこと。仲間とつるんだり、そのあと出会ったのがボクシング、その会長との出会いがターニングポイントとなったかなと思ったのですが、そこで目標、未来、というものをたてていいんだな、ということや、目標を立てることによりタスクを小分けしていくことなどのお話がでてきましたが。
小分けは昔からできていたのですか?」
ポチ丸
最初はできなかった。小分けは難しかった。
特性として、話していても、話がポンポン変わっていく。小分けしようと思っていたら別のことを考えていたり。
そういうふうにしないために、目標設定の仕方もきっちりとやるようにしている。
「出会われた方の中で「この人の話は聞ける、この人の話は聞けない」の分け方の基準はあったか?
聞いていると、「自分のことを理解してくれている人の話は耳に入る」という印象だが?
ポチ丸
実は25歳までは、社長の話しか聞かなかった。
それ以外の人の話には耳を貸さなかった。例えば、「サラリーマンの方」の意見は聞いていなかった。
20台後半になって変わってきた。
サラリーマンの方の話も保護者の話も聞ける様になってきた。
昔できなかったことが、だんだんできるようになってきている。
このセミナーもそう。
だから、これからもいろんなことができるかもと思えてきている。
もっと若い頃、幼少の頃は誰の話も聞いてなかった。
何か言われたら逆ギレしていた。
毎日帰りの会で言われていた。
いろんなことについて、捉え方が違っていた。
そのことで、自分自身が損するな、と思っている。
損するな、という内省ができるようになったのもココ最近。
自分のこの特性のせいで、大切な仲間が離れていった。
一番自分をわかってくれてた方に対し逆ギレして、傷つけることを言ってしまった。
失ってからわかっても遅いのだけれど。
そういった失敗を繰り返しながら、前に進んでいくのが自分にとっての成長だと思う。
ポチ丸さんのお話を通して
今回、博多ポチ丸さんのお話を皆さんに聞いてもらいたいと思った大きなきっかけは
「障がいがあるからこそ、障がいのない人よりも稼いでいこう」というポチ丸さんのメッセージに共感したからでした。
機能的な障がい、能力的な障がい、そして社会の中で被る不利益、障がいが合っても、3つ目の社会的不利益を被らなければ
多くのことはうまく回っていく。
つまり、「経済的自立」により、多くの社会的不利益(ハンディキャップ)は解消される。
ここを実現するためには、障がいのある方自身が自分の可能性に蓋をせず、できることからやっていく。
そして、そんな彼らをサポートする側も彼らに制限を掛けずに、見守り、応援する、その姿勢が自立できる障がい者を増やしていくことにつながると強く思った今回のジョブクエストでした。
博多ポチ丸さん、ゆあしっぷさん、ありがとうございました!