夢をひらく!チャレキッズ発表会2018リポート ③〜 パネルディスカッション〜
就労について考える
平成30年4月15日(日)西南学院大学 西南コミュニティセンターで開催した、チャレキッズ発表会のリポートパート3です。
今回は、パネルディスカッションの模様をリポート致します。
チャレキッズに関わってくださっている、保護者、企業、行政、教員、放課後等デイサービスの皆さんにご登壇頂きました。
パネラーのご紹介
続いてはパネルディスカッションのコーナーです。
早速パネリストをご紹介していきましょう。
・ チャレキッズの保護者 坂本 久美 さん
・チャレキッズのワークショップにもご参加いただいている
当仁中学校教諭 特別支援学級担任 小佐々 美代子 さん
・お仕事体験受入企業
株式会社uk 取締役金谷 幸成 さん
・チャレキッズのアドバイザーであり、法人会員企業
株式会社障がい者つくし更生会 専務取締役 那波 和夫 さん
・元教育委員会発達教育センター 主任指導主事
若久特別支援学校教頭 山本 武志 さん
・放課後等デイサービス ブルーリーフ 代表
東 将武 さん
それぞれチャレキッズに関わってくださっている方々に活発なご意見を伺っていきます。
それぞれの取組について
中嶋:
それでは、まず、パネラーの皆さんの取組、チャレキッズとの関わりなどについてお話いただければと思います。
坂本さん:
中学2年生の息子がいます。早くから、何かを身につけさせたいという思いから、いろんな習い事、体験をさせてきました。
とにかく、何か得意なことを見つけ出したいと思って、模索している最中です。
チャレキッズのお仕事体験に参加し、「これだ!」と思って、沢山参加させてもらっています。
小佐々さん:
当仁中学校の小佐々です。たかやくんの担任です。学校では職場体験が中学2年生ありますが、坂本くんはじめ、特別支援学級の生徒はやりたい体験に参加できないことが多いです。
そして、たまたまですが、私のクラスの生徒は、バス運転士、大工体験、パソコンスキルの体験など、チャレキッズのお仕事体験に参加させて頂いている生徒が多いです。
教育現場での話で言うと、教員ではなかなか企業開拓するのは大変な状況です。
そういう意味では、チャレキッズでお仕事体験できるのは、生徒たちの選択肢が広がるので、ありがたいですし助かっています。
そして、私もチャレキッズのワークショップに参加させて頂き、たくさんの気付きをいただきました。
金谷さん:
映像制作会社です。事業内容で言いますと、結婚式の映像制作、企業PV、WEB広告動画やCMを制作しています。
ここ半年くらいで 就労継続支援A形事業所さんと結婚式の動画を編集する仕事をススメています。これは映像データをクラウドに集約し、事業所でダウンロード、編集する取組です。
事業を拡大するため、クラウドファウンディングも行い、資金を集め、結婚式場さんと一緒にススメています。
よろしくお願いします。
那波さん:
株式会社障がい者つくし更生会は春日市、大野城市の燃えないゴミ(不燃性ゴミ)の中間処理施設です。
従業員37名のうち、障がい手帳をもつ人が32名。この春、2名新たに採用し、精神、発達の方が加わるので、総勢39名中34名が障がい者という構成になります。
そして、いままで私たちは補助金などをもらったことはありません。34年間、ビジネスとして成り立たせています。
どうしてそんな事が出来るのか、どうやってなし遂げているのか、見たい、知りたい、ということで、多くの見学の方がいらっしゃいます。
昨年度は489名の方が研修したいとの要望でいらっしゃいました。
モチロン、経営者の方もいらっしゃいます。
今日もチャレキッズの中嶋さんからお声がけいただいてたので、弊社の取組、考え方が何かのお役に立てればと考えています。
よろしくお願いいたします。
山本さん:
今の立場ですと、元ということでしか話せませんが、27,28年度、チャレキッズの立ち上げの時から、中嶋さんと取組を一緒にススメてまいりました。
なぜチャレキッズをやってきたか、というと、福岡市教育委員会に、特別支援学校高等部の生徒の就労を促進るべく、組織された、「夢ふくおかネットワーク」という、学校と企業を結ぶ機関がありますが、その中の課題で、「高等部に上がった時点での就労希望者が少ない」、と言う課題がありました。その原因は、2年前にとったアンケートで、なりたい職業の第2位が「分からない」であったように、当事者や親御さんが、将来の就労にたいして、夢や希望が描けていない、と言う現状があると思いました。その夢や可能性を伸ばすため、もっと小さい頃から夢や可能性をもたせることが大切なのではないか、ということで、チャレキッズの取組をスタート致しました。
東さん:
放課後等デイサービスを東区の青葉で2施設運営しております。
障がいのある、就学時期の児童が来ています。スタッフのほかに、作業療法士、言語聴覚士などと連携して、能力を伸ばす取組を行ったり、
施設外の施設や地域との連携を積極的に行い、活動しています。
オープニングの和太鼓も、5月にはどんたくへの出演、飯塚太鼓フェスへの出演を行うなどしています。
社会との関わりと、就労を見据えた活動として、施設で物を作って販売する、そういう場を提供して頂ける地域や団体があればどこにでも出かけていこうと思っています。
私も、チャレキッズからお仕事体験の話をもらった時、「子供たちの夢が分からない」、が2位にあったという事に衝撃を受けました。
お預かりしている子供たちにもっと沢山のチャンスが必要なのではないかと思い、そのために社会とのつながり、就労の機会としてお仕事体験受入企業との交流というのは
とても大切だと思っています。
障がい者と企業がハッピーに成る就労のかたちとは
中嶋:
皆さんの取組をご紹介頂いたところで、トークテーマはコチラ!
「障がい者と企業がハッピーになる就労のかたちとは」です。
現在、世間では法定雇用率の高まりも受けて、障がい者雇用は注目をされ始めています。
しかし、「しなければならない」という形で進めていると、ペナルティさえ払えば良い、もしくは法定雇用率さえクリアすれば良い、という意識になりがちだと思います。
すると、せっかく雇用した障がい者が定着しない、社員の理解が得られないなどの負の側面ばかりが目立つように成る気がします。
そこで、企業、保護者、教育、それぞれの立場での課題を語り合うことで、どこの部分をクリアするとよりスムーズに障がい者就労が進むのか、ということを考えていきたいと思います。
まずは就労ということに関して、保護者の坂本さんが思うことを伺っても宜しいでしょうか?
坂本さん:
就労にあたって、まず思うことは「うちの息子は迷惑かけないか」ということが気になります。
うちの子どもの場合、感情的になることはありませんが、言われたことが分からない、できない、ということがあるので、そういうことを企業がどのくらい理解してくれるのか、ということに不安を抱えています。ただ、チャレキッズに参加するまで、「出来ないことが出来るようにならないといけない」と思っていましたが、ワークショップに参加して、「出来ることを伸ばす、で良いのだ」、と思えたのはとても大きな気付きでした。そう考えた時、また逆に、そのような姿勢で臨んでくれる企業がどのくらいあるのか?ということに不安を感じています。
中嶋:
良いキーワードが出てきたので、ちょっと拾っていきたいと思います。
「出来ないことを出来るようにする」ではなく、「出来ることを伸ばす」ですね。
小佐々先生、教育の現場ですと、「出来ないことを出来るようにする」という取組を行っているイメージがありますが、実際はどうなんでしょうか?
小佐々さん:
はい、学校でも、「出来ないことを出来るようにする」ことよりも「出来ることを伸ばす」。という考え方が必要だと思っています。
ただ、彼らにはそれぞれ、不得意なこと、出来ないことがあるので、その時に、「助けてください」「教えてください」と言えるようになっていくことが大切と思います。
周りの人の力を借りる、そうすることでクリアしていくことが大切だと思いますので、出来ることを伸ばすと同時に「出来ない時に助けて」といえる力をつける事が出来るよう取り組んでいます。
中嶋:
では、続いて山本さん、教育委員会として、指導の要項として、「出来ないことを出来るようにする」という方針はあるのでしょうか?
山本さん:
先ほど小佐々先生が言われたように、「出来ることを更に伸ばす」ことにフォーカスされています。
出来ないことをやるのではなく、出来ない時にどのような言動を取るのか、出来るように人に助けを求める事ができるように指導する、それが特別支援教育の考え方です。
決して、出来ないことを無理強いすることはありません。
中嶋:
それではつづいて、東さん。
どの様に考えますか?
東さん:
日頃の支援では、「出来ることを伸ばす」に重点を置いて行っています。
それぞれの機能を上げたりすることについては、作業療法士や言語聴覚士の方々のお力を借りて訓練を行いますが、
本人が苦手としていて、苦痛になること、たとえば「接客が嫌い」というお子さんにその作業を強いることはありません。
出来ることをやる、居場所を提供する事が大切かなと思います。
中嶋:
では企業の立場ではどうでしょうか?
「出来るようになってから来て下さい」なのか「出来ないくても良いよ、出来ることを活かして、のばしていくよ」という姿勢なのか、
伺って見たいと思います。
金谷さん:
出来ることを伸ばすためには、出来ないことも出来るようになる、という壁にぶち当たると思います。
今回、お仕事体験で、なぜ「YOUTUBERになろう」という企画をしたのかというと、youtuberが子供たちにとって身近な存在で、取り組む際のハードルが低い、ということがありました。
それと、動画撮影という仕事を見渡した時、枠が広すぎて、どこから手をつければよいかが分からない、ということがあり、身近なYOUTUBERを選びましました。それでは、動画制作に必要なスキルとは何か、撮影するスキルなのか、編集するスキルなのか、色々と考えると思いますが、実は大切なのは「企画力」なんですね。
今回参加してくれた子供たちに関しては、いま述べた動画の制作スキルについては飲み込みが早い。スキルは機会を重ねれば必ず身につきます。
ただ、終わったあと、どこが難しかったか、の問いに対しては、「自分のことを伝えること」や、「どんなことをどんな風に伝えれば良いのかが難しかった」、という答えが多かったのです。
つまり、「自分を表現する」、という壁に皆ぶち当たっていました。
そういった壁を乗り越える際に、出来ないことをクリアしていく段階が必要になると思います。ただ、あまり良くないなと思うのが、私達大人自身が仕事は難しいものだ、という壁をつくっている側面があることです。
仕事は難しい、だから障がいのある人には難しい、ではなく、「出来ないことを出来るようにするためのツール」や「場」を創っていくことが重要です。
そうしないと、新たなアイデアや市場が開拓できません。特に動画制作など、クリエイティブな仕事と言われる分野に関しては、障がい者雇用などに後ろ向きな風潮があると思っているので、そこを企業努力で開拓していく必要があると感じています。
続いて、那波さん、
那波さん:
うちの会社の事で言うと、我が社の課題は、社員が成長すること、困難を一緒に乗り越えていくことです。
そして、その取組がお客様への価値につながっているか、そのバランスが大切だと思います。私たちは一般的に言われる、福祉の専門的な勉強をしてきたことはありません。
「福祉」という感覚で仕事はしていません。
目の前にいる社員が、たまたま障がいを持っている人だから、彼らにどうやったら伝わるか、成長してもらえるか、私達も一緒に成長していけるか、という視点があるのみです。
どうしてそれをやるか、というと、目の前にいる人が「うちの社員」だから「成長してもらわないと困るから」やるんです。先ほども申しましたが、多くの方が弊社に見学に来られます。
教育者の方々、福祉の関係、医療関係、大学、様々立場のな方々がいらっしゃって、話をススメていくと、腹を割って話す機会を頂きます。
そこで感じるのは、皆さん、『自分の立場でのみの物の見方、考え方が強くなっているな』、ということです。
『相手の立場でのものの見方、考え方』ができていない。
できれば『社員や子どもが主人公であって欲しい』のですが、それが出来ていない。
結局、それぞれの大人側がなんだかんだ言いながら、つながっていないな、と感じます。
そういう状況であれば、子供たちや、社員に思いや考えが伝わらないのはやむをえないのかな、と思います。
たとえば一般企業の方であれば、“教えなくても出来る社員が来て欲しい”と考えがちです。
しかし実際は、出来ない社員を教育して出来るようにする力、「育てる力量」が問われます。
それは先に入ったものの役目と考えています。見学では、弊社の現場を見てもらっています。障がいのある社員が行う、各セクションの説明を聞いてもらいます。
殆どの見学者が「彼らは自分の意思で仕事をしているように見える」「生き生き仕事をしているように見える」「だれもいやいやしていない」ということに驚かれます。
そして「どうしたらそうなるの?」 「どんな教育をしたらそうなるの?」「どうやって能力を引き出すの?」「仕事に対するモチベーションを引き出すには?」
それが、全て障がいのある方々なのに。。。
という感想を頂きます。
なので、そういう方々に逆に質問します。
なぜ驚いたのですか?
なぜ出来ない、と思ったのですか?すると、その時にようやく、「なぜ私は驚いてしまったのだろう」「なぜ私は彼らには出来ないと思っていたのだろう」という自分の考えに向き合う段階に入るのです。
そうして、自分の自社での振る舞いについて省みるようになります。
障がいのない、自社の社員に対する教育について「わかっているつもり」、「やっているつもり」、であっても、見学に来て、弊社の社員の姿を見ることで、「自分は全然出来ていなかった。
彼らと向き合うことが出来ていなかった」、ということに気付きます。
モチロン、どの企業もどの担当者も一生懸命やっています。やっているけれども、やっているレベルが、伝えているレベルが、どのレベルなのか。
「まだまだ自分の力量が足りないから、社員や後輩がこのレベルなのだ」ということに気づかなくてはなりません。弊社の社員は障がいがあります。なので、飲み込みも遅く、変化も遅かったりします。でも、伝えれば、向き合えば、個々のスピードでそれなりに成長してくれます。それがやりがいになっています。
障がい者雇用では定着率もよく問題になります。多くの方が1年経たずに辞めてしまうので。
しかし、弊社は定着率は100%です。やめたいという社員はいません。そして、見学にきた社長さんに聞きます。
「御社は社員同士の人間関係は良いですか?」「その会社に入ってよかった、と言ってくれますか?」
人間関係が悪いところ、コミュニケーションがうまくいっていない会社で育つ社員と、人間関係が構築できている会社内で育つ社員と、
どちらがより良く育ちますか?
ましてや、障がいのある方を受け入れて、成長させよう、という時ではいかがでしょうか?
そんなことについても色々と話させてもらいます。そうやって、私は入社した22年前から試行錯誤しながら取り組んできて、苦労もありましたが、自分自身が学べてきてよかったな、と思うところです。
しかし、そういうことに、気づかない人が沢山いるのも現実です。
正直、もったいないなと思います。
それは、社員だけでなく、子供たちへの教育にも大きく影響することです。そして、入社してくる、障がいのある社員を見ていて、「自己表現の練習ができてないな」とよく感じます。
「自分ってなんだろう」「自分とはどういう人間か」ということを、どのように表現するかについて、教えてこられていない。
そういう経験自体が非常に少ないな、と感じます。
それは、その方が悪いのではなく、たまたま、分かりやすい、伝わりやすい接し方を教えてこられなかっただけ、
そういう環境や教育に出会ってこなかっただけなんだと思っています。だから、私たちは、彼らが気づけるように、自分のことが表現できるように、もっとやりやすく成るように工夫を重ねています。
そして、それ自体を楽しみながら、やっています。
彼らは成長してくれるから。成長してもらうための仕掛けは色々やっていきます。
やりがいもたくさんある。やっていて良かったなと思います。
中嶋:
ありがとうございます。
先ほど、坂本さんが仰った「迷惑を掛けないかな」という言葉から、どうしても、就労者と受け入れ企業で「強い立場と弱い立場」になる事があると思います。
そこを変えて行かないといけないと思うのですが、どうでしょうか?
例えば、教育現場でも、障がいのある生徒と企業をマッチングさせていくために、子供たちの能力を企業が求める人材に近づけるよう、訓練したり、企業へ、「できない事」に対する理解を得るための努力に力を入れてしまう。その構図は変わりようがないのでしょうか?
山本さん:
そういった面でいうと、企業も変わってきていると思っています。
特別支援学校では、まず体験実習をさせていただいて、そのあと、就労にむけた実習を行います。
そうして、就労へと進んでいきます。
その時に、企業から聞かれる内容も以前とは変わってきました。
これまでは能力や障がい名称を含め「できること」にフォーカスされていましたが、最近は本人の性格や特性、必要な配慮などを聞かれることが多くなってきました。そして、就労後も保護者と連絡をとってもらったり、何かあれば学校に連絡を入れてもらえたりしています。
連絡をもらえば学校が企業へ行って、その後のフォローを一緒に考えることもしています。そういった繋がりも出来てきていることを考えると、以前とは変わってきていると思います。
中嶋:
そうやって、受け入れてくださる企業の反応も変わってきているのであれば、「出来ることを伸ばす」という姿勢の企業といかに出会うか、
開拓するか、がキーワードに成ると思いますが、学校での開拓には限界がありますか」?
小佐々さん:
学校では受入企業の開拓をしますが、通常学級と支援学級との格差を感じています。
通常学級の生徒であればスムースに体験の受け入れが許可されるところを、特別支援学級の生徒の体験となると、「どういう生徒ですか」「うちの仕事ができるか不安です」という風になってしまって、企業の方に理解を求めないといけない。
どうしても、学校だけでは沢山の企業などの情報がないので、どういった企業に生徒をマッチングさせていけばよいのか?が課題になっています。
中嶋:
学校単体で外部との繋がりを増やすことはは難しいですよね。。
学外でその役割を担うもう一つの場所が放課後等デイだったりすると思いますが、
ブルーリーフでは、企業とどのような活動をされてますか?
東さん:
はい、ものづくりなどを行う企業、製材所などと連携をとってお仕事の体験などを行ったりしています。
そういう活動の中で、企業側から、適材適所で対応すれば、彼らも戦力に成るねという反応を頂いています。
彼らと働くことで、利益が出ますよ
中嶋:
ありがとうございます。
障がいのある方の就労の促進と定着が進むためには、
企業の皆さんに変わって欲しい、気づいてもらいたい、
彼らと働くことが利益に繋がる、と言うことを伝えていきたい、と思っています。
実際の所、彼らと働くことが利益に成る、と伝えることが出来ると思いますか?
東さん:
利益が出ると言うと、中々難しいとは思いますが、彼らの特性を活かすことで、それは成り立つのではないかと思います。
ただ、私の会社で彼らを雇うという風に考えて、どんな場面で活かすことが出来るかを考えると
障がいがあっても無くても、適材適所に配置していけば成り立つと思います。
山本さんはいかがでしょうか?
山本さん:
障がい者就労のセミナーでお招きする講師が必ず言われるのが、「この方々が戦力になりますよ」 そして、その方々がいることで、「周囲が良い方向で変わります」「互いが互いを気遣うようになります」「今まで気づかなかった事に気づいたり、手順書、示し方を変えることで、みんながわかりやすくなります」というお話を伺います。
社内のユニバーサルデザイン化が進む、というお話です。そういう話に耳を傾ける企業も増えてきてて、企業も変わってきています。
そして、意識や取組を変えて、良い事例を作れた企業をどんどん巻き込んで、企業から企業へその事例を伝えていく、企業同士のつながりが持てたらと思っています。
中嶋
ありがとうございます。
私は先ほどから、営業利益という言葉を使ってます。結局、障がい者雇用が促進されるためには、利益に繋がる、という事が大切と思っています。
ただ、利益が上がるかもしれないけど、そこに到達するまでの労力やコストは掛けたくない、という企業もあるかもしれません。
しかし、コストや労力を掛けたとしても、それでもやった方が利益になりますよ、と言えると伝えやすいのですが、金谷さんはこの「利益」という面ではどの様にお考えですか?
金谷さん:
利益ということで考えますと、先ほどご紹介した、A型事業所と進めている、結婚式の動画編集のお仕事の事を考えた場合、
このシステムは、かれらの力を活用した仕事が何か出来ないか、という考えがあったからこそ生まれたシステムです。
そのシステム、その仕組、そこに向けてのノウハウが生まれた事自体が弊社にとってはまず、利益と思っています。
営業利益はそこから生まれていくと思います。
この取組自体、業界初のことなので、開発にも時間がかかり、コストもかかっています。
目の前の営業利益も大切だと思いますが、企業側としては、新たな分野を開拓、研究し、そういった取組から生まれるものが利益に繋がると考えています。
中嶋:
ありがとうございます。
坂本さん、そんな企業であれば、息子さんを戦力として見てくれそうですね。
坂本さん:
はい。
そういう企業があったら、是非、うちの子を使ってみて下さいと言いたいですね。
そういった企業であれば、彼らにどんなことが出来るかを見出してくださる気がしていて、
そういった企業が増えると良いなと思います。
中嶋:
小佐々先生はいかがでしょうか?
小佐々さん:
そうですね。学校では、雇ってもらえるような生徒、企業の中で可愛がられる、愛される生徒に育っていって欲しい。
何かが出来る、ということよりも、挨拶ができる、すいませんでした、が言える。コミュニケーションができる、そういう生徒を育てていきながら、
就労に向けて前向きに取り組める生徒を育てていきたいと思います。
中嶋:
今の話をうけて、那波さんに伺いたいのですが、
那波さん:
企業の方々と関わる中で、見学にいらっしゃる方々は人間的に当たり前の方が多く、
単に気づいていないだけないだな、ということが本当に多い。
弊社の取組を説明し、最後に感想を頂くのですが、
先日は、とある社長さんが「私はこれまで、社員に対して那波さんのような考え方で接してこれてなかった」
とおっしゃるんです。社員さんの目の前で。社員は苦笑いしていましたが。
そうやって、一生懸命経営の勉強してきた方であっても、社員への目線や育てる際の意識などに、お気づきになっていないことが多々ある。大企業であれ、中小企であれ、難しいところは難しい、やっているところはやっている。
できる理由、できない理由は、企業の大小ではない。
出来ない理由をどこにするか。
それを自分の心に持ってこれるかどうかがポイントです。目の前の人々を活かすかどうか。
ちゃんと教育して、成長させられるかどうか、
成長させられるだけの力量を身につけるための勉強ができているか。そういう取組に対しての意識に疑問を持ってしまいたくなるような経営者、起業家の方にも多く出会いました。
そんな方々のお考えを聞いていると、人のことばかり言ってませんか?ということが多い。
「人を活かす」という、教育についての考え方において視野が狭くなっている、と感じる事が多いです。取組においても、ミスしたらどうしよう、、という考え方が先に来ることが多い。
どうして全体的にミスしないように、、、ということが一番にくるのか、と。まずはやってみる。そして、ミスが出た時点で、どの様にやっていけばミスが無くせるかをコミュニケーションを取りながら考えていく。
その過程が大切です。だから、小さなミスを沢山積み重ねていくんです。
先にミスをするなという事を言ってしまうと、モチベーションさえ下げかねない。
そういうことに気づいて欲しい。
チャレキッズが果たせていること、期待すること
中嶋:
ありがとうございます。
チャレキッズではそれぞれの立場の皆様の考え方や取組がお仕事体験という現場を含め、様々な場でお互いの考えが交じり合う場を作っているのですが、
現在のチャレキッズが果たせている役割、そして今後期待する役割を教えてください。
東さん:
チャレキッズには職業体験で参加させていただいていまして、引続き彼らの体験を増やす、可能性を広げる場を提供していただきたいと思っています。
そして、求めていることは私達でも手配できないような企業への体験だったり、体験から次の体験へとステップアップしていったり、具体的なお仕事に結びつくような
体験までさせていただけるとありがたいなと思っています。それが、子供たちの自信にも繋がると思いますし、こういった仕事ができるんだという気付きになればと思います。
山本さん:
チャレキッズに期待すること。
よく小学生や中学生の子供たちに障がいを理解するために必要な事は何かと問われた時に、「知ることが大切だよ」と言っています。
これは企業へ対してもそうです。知ること、出会うことが大切。
そういう意味で、チャレキッズという出会いの場を大切にして、企業の方には少しずつ学んでいただきたいともいますし、
教育の立場からすると、教員や保護者自身が気づくこと。
チャレキッズに参加することで気づく、出会う場であることが大切だと思います。以前行った「なりたい職業アンケート」で「わからない」が2位だったというお話をご紹介しました。
かずとして、30数名もいたんです。通常学級の生徒だとそんなことはない。そこには、経験の少なさもありますし、
保護者本人も先のことが考えられない、夢や希望が見いだせていないという現状の現れではないかと思います。
チャレキッズに関わることによって、出会うことによって、将来の夢や可能性に気づいてもらえればと思います。
那波さん:
先ほど僕の方から、様々な立場の方とお会いすることがあって、皆さん、自分の立場の考え方を優先してしまっていると言う話をしました。隣の人の立場への配慮が足りないですよねと話しました。
しかし、それぞれの立場がそれぞれの考えを知り合う。そこが大切。そうやって、お互いの立場を知り、「あ、そこに困っているんですね」だったり、「あ、ここはこうすれば良いんですね」と言うことがお互いに出来る。
そういった場にしていただきたい。
立場の異なる人々が集うことで、ようやく気づくことってたくさんあると思います。
そして、チャレキッズとしては、それぞれの立場の方々に、チャレキッズと関わることで生まれる気付きや有効性をどうやって気づかせることができるかが大切です。
その有効性をそれぞれの立場の方々に合わせて、どのタイミングでどの事柄で、何に気づいてもらうのか、その「気づきのポイント」を上手に結びつけること。
「今、ここで、ここに気づくととっても役に立つのではないか」という導きが出来るようになると良いなと思います。大人たち、指導者達がそういった理解出来ていると、その環境で育つ子供たち、社員たちはとっても育ちやすい。
なので、チャレキッズは気づく場であり意図的に気づかせる場であること。
参加する人たちも気付こうと言う気持ちを持ちながら、探そうと言う気持ちを持ちながら関わっていただけることが大切だと思います。
中嶋:
ありがとうございます。
金谷さん:
はい、まずは、私達はこのお仕事体験を継続させていただきたい。
そして、もう一つ、今、那波さんが仰ったことなんですが、もっと企業さんとディスカッションをしたい。
そういう場を作っていただきたい。
そして、体験で、子供たちと向き合う時間があり、大変刺激になありました。
そこに合わせて、こんどは親御さんと向き合う時間も欲しい。
それぞれが交わる場としての機能を果たしてもらいたいと思っています。
小佐々さん:
学校では、こどもたちの将来の自立を目指しています。
彼らの社会自立に向けての教育をしています。しかし小学校、中学校の現場でキャリア教育を行っていくのは難しい環境にあります。
チャレキッズには障がいがあっても、夢や希望をもって、社会的自立を目指せるという環境を作って頂きたい。
学校の現場では出来ていない、キャリア教育の部分を是非担って欲しいと思っています。
障害があっても社会自立に向かって歩んでいける、夢や希望をえがけるよう、企業を繋いで欲しいと思っています。
坂本さん:
はい、私たちは昨年夏にお仕事体験をさせてもらって、はじめてチャレキッズに出会いました。
その時は、まさかその半年後に、こんなところに座っているなんて想像もつきませんでした。
そして、参加させていただくことで、体験させてもらうことで、色んな気付きがありました。これまで、我が子のことやその取組を公に発信してきてたわけではありませんでしたが、チャレキッズに参加することで、周りのお母さんたちにいろんなことを教えられるようになりました。
今日も、この場でも気付きがありましたし、そんな企業や社会がコミュニティがあるんだよ、もっとやれるよ、夢を持てるよ、ということを、今日この場にいない保護者の方々に伝えていきたいと思います。今後は、チャレキッズの活動をご紹介しながら、「親の気づき」というところに貢献していきたいと思っています。
坂本さん、ありがとうございました!
以上を持ちまして、パネルディスカッションを終了したいと思います。
そして、このまま、気付きを共有してくためのグループワークに移らせていただきます。
改めて、パネラーの皆さんに大きな拍手をお願いします!