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座談会リポートチャレキッズ・オンライン座談会 《教えて!相本先生!》~子どもを中心としたつながりづくり〜

保護者対象の無料オンライン座談会

2020年6月17日(水)10:00〜11:30 Zoomを使ったオンライン座談会を実施しました。
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対象は保護者、支援者の皆さん。
テーマは「子どもを中心としたつながりづくり」です。
ゲストスピーカーには、言語聴覚士の相本ゆかりさんをお招きました。
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今回はその座談会のリポートをしてまいります。
キーワードは“ABA(応用行動分析)”、“スケジュール”、“生活を整える”、“気づいた人から学び伝える” です!

目次
1,オンラインの可能性を広げる
2,対話中心の座談会
3,
テーマ動画を事前視聴
4,事例の共有
5,道具を持とう①スケジューリング
6,道具を持とう② ABA(応用行動分析)
7,生活を整えるという大目標
8,気づいた人から学び、伝えていく
9, 座談会を終えて
次回のオンライン座談会 と応用行動分析セミナー

1,オンラインの可能性を広げる

家庭以外の場所での過ごし方を良いものに

お子様が学校や支援機関でどのように過ごしているのか、家庭以外での活動をより充実したものにし、療育にも役立てるために、学校の先生や支援者と連携を図りたい。
でも、なかなか思いや情報が共有できず、もやもやしてしまう。
そんな事、ありませんか?
そんな問いかけから始まりました。

学校や支援機関をレスパイトの一つと割り切り、預けるだけという利用の仕方もあるのかもしれませんが、関係先でも有用な経験を積んで成長につながると良いな、、そう考える保護者の方なら誰しもが良い連携を望まれるのではないでしょうか。


2, 対話中心の座談会

座談会の流れについて




9:45  入室開始
10:00 主催挨拶
10:05 ゲストSpeakerご紹介
10:10 参加者自己紹介
10:20 参加者のみなさんの事例共有
10:30 speakerからの話題提供
10:40 各自の事例に対してのコメント
11:10 質疑応答 
11:25 感想共有
11:30 終了

3,
テーマ動画を事前視聴

座談会の時間を充実したものにするために

これも新たな試みでした。

意図としては

“事前視聴動画を観る”ことで、“テーマについて登壇者の考えや伝えたいことの概要を把握することができ、座談会にスムーズにはいれるのでは”

と考えました。

イベントがスタートし、今日の流れ、趣旨説明、団体の説明と講師紹介の後、通常であればテーマについてのトークが登壇者からあるところですが、事前動画により大まかに説明しているため、すぐに参加者の自己紹介がスタートでき、それぞれの事例共有へと移ることが出来ました。

4, 事例の共有

低学年から高学年、若者に至るまで幅広い事例が集う

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今回は小学1年生から20代半ばまでと、幅広い年齢層のお子さんの事例が共有されました。
テーマの「学校や支援機関との連携」について、参加者夫々が困ったことや悩みを抱いていらっしゃいます。
どのような事例共有があったか、簡単にご紹介すると

◆本人が言語理解ができる場合、支援者との相談の場に本人も入れてもよいか?

◆とにかく頑固で気が強い。嫌なことは絶対しないし、嫌なことがあったら投げる、叩く、噛む、泣き叫ぶ!と思いきや、外では人見知りで存在感の薄い静かな女の子のようで、家と外では全く別人のようです。窓際のトットちゃんと思って育てています(小1女子)。

◆学校や先生への拒絶感が強く、小2〜小6の現在まで不登校。
放課後デイは、通っていますが定期てきな安定した通所が今も課題です。本人が希望する放課後デイをひとつ増やし、外に少しずつ出られるようになってきたので、これから連携について、考えたいと思っていました。学校と連携を図りたいがコミュニケーションが希薄で、こちらからどのようにアプローチしてよいかわからない。また、本人が支援を望んでいるかがわからない。

◆通信制の高校に通う高校1年生の男子。今後の進路についても含め、支援者に子どものことをどのように聞き出したら親目線以外の情報が引き出せるか?

◆長男24歳は発達障害であるとの診断を大学に入ってからうけ、今現在引きこもりの状態です。この状態をどうしたらとわからない状態です。
小学6年生のときに気づいたが、実生活でそこまで困ったことがなかったため、支援機関を利用しなかった。
勉学が得意だったので、特に気にせず、勉強に打ち込ませた。
高校も進学校に入学、大学も国公立大学に合格した。しかしここから躓いた。
大学にいけなくなった。
寮に入ったことが原因の一つかもしれないが、苦手なことに対処できなくなっていった。
教科の履修手続きや授業で行うグループワークなど、「人との連携が苦手」なため、自由度の高い大学のシステムについて行けなくなった。現在は大学を休学し、一日中家にいる。
本人に困っていることを聞いても出てこない。

5,道具を持とう①スケジューリング

子ども中心のつながりづくりのために

参加者からの事例を皆さんで共有した後、それらに共通する課題として出たのが「スケジューリング」というキーワード。そしてもう一つが「応用行動分析」でした。
スケジューリングは、一日の計画などを視覚化し、言語コミュニケーションが苦手なお子さんに、今日一日の見通しを持ってもらうことで、安心して一日を生活できるようにする術です。
また、このスケジューリングをすることで、保護者とお子さんが「共通の言語」を手に入れることになります。
そうすることで、スケジュールは変更になることもあること、そして中止になることもあることを理解してもらうステップへと移っていきます。
お互いの共通認識、共通言語を手に入れることで、感情のトラブルがあった際に、何がお子さんにとって障壁になっているかがようやくわかってくるのです。

6,道具を持とう② ABA(応用行動分析)

行動を仕分け、見える化する

もう一つの道具が「ABA(応用行動分析)」です。
チャレキッズでも朝倉先生の応用行動分析セミナーを開催するなど、その考え方の重要性をお伝えしています。
また、次回7月18日にも朝倉先生の「応用行動分析的子育てのススメ」を企画予定です。

相本さんからのお話では、門眞一郎ABAの考え方をもとに「感情」をいれず、「行動」をきちんと仕分けて行くことで、行動の理由を解き明かす「応用行動分析」の手法を用いた分析シートをご紹介いただきました。

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出展:
http://www.eonet.ne.jp/~skado/

ただし、このシート、使えるようになるためには勉強が必要です。
全体の考え方を理解するだけでなく、行動をどのように捉えるのか、前提条件をどのように設定するのか、その結果何が得られているのかなど、項目に入れていく言葉、行動の素材を仕分けるには経験と学びが必要です。

“感情”ではなく、“行動”で視る

行動には“きっかけ”がありそれに対する“反応行動”があり、その“結果”がある。
その結果が本人とって有益であるならば、その行動は「次回も行おう」という動機づけにつながる(強化される)
この原則をもとに、きっかけ、反応、結果を仕分け、観察することで、行動の理由を理解することに近づいていく。
ひいては、支援者、保護者の「わからない、理解できない」という焦りからくる「怒り」からの開放へと繋がります。
そして、冷静に「行動を観察する」ことで、本人にどのようにすれば伝わるのかを考えていくきっかけが出来ていくのです。

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7,生活を整えるという大目標

座談会後のアンケートで「心に残ったワード」では上記のABAやスケジュールに併せ「生活を整える」というキーワードが上がっていました。
今回のテーマ、子どもを中心としたつながりづくりにみなさんが関心を持ってくださったのも、お子さんの生活をもっと充実した学びの多いものにしてあげたいという思いが合ってこそだと思います。
そうしていくことで、何を目指すかというと、将来、目標を持ち
生き生きとした人生を歩んでもらいたい
と思うからだと思うのです。
そのために、まず最初に必要なこととして、「生活を整えること」ということが大切だと相本先生が伝えてくださいました。

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8, 気づいた人から学び、伝えていく

全てはつながっている

そして、事前視聴動画にもありましたが、支援者や学校関係者のみなさんが、特別支援教育について専門的な学びを得てこられているかというと、残念ながらそうとも言えません。

更に、特別支援教育だけでなく、今回もご紹介したABA,や、PECS,TEECHなどなど、世界で使われているツールや考え方を学びながら、本人に最適な支援を行うにはどうすればよいかを考え実践し自身の経験値を上げ続けていく必要があります。
それらの学びや経験、識を支援者や先生方に求めるのは少々難しいということも理解していかねばなりません。
まったく当てにするなということではありませんが、期待しすぎないこと。
そして、何より普段からそばにいる保護者がいち早くそのことに気づき、学びと実践を継続することが大切です。
お仕事や家事もある中、そこまでの時間を費やすことは難しい、そういう事情もあるかと思います。
しかし、そこも「できる人から」がやっていきましょう。
ご自身にその余裕と時間がないのであれば、できる支援者や専門家の協力を仰げばよいのです。
一人の力で出来なくとも、お子さんを中心としたつながりづくりがあれば、本人にとっての良い時間、良い経験、良い学びの伸びしろはまだまだ広がると思います。

《アンケート:本日の座談会の満足度はいかがでしたでしょうか? 1:期待はずれだった 10:期待以上のだった 》
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《アンケート: 特に印象に残ったお話、気づいたことなどがあれば教えてください。 》
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9, 座談会を終えて

継続した学びを実現するために

今回初の座談会でしたが、7人という人数と、事前に視聴動画を御覧頂いてからの参加ということで、最初から各自の事例を共有でき、それぞれの事例にコメントいただくことが出来ました。また、「子どもを中心としたつながりづくり」に必要なキーワード、“ABA(応用行動分析)”、“スケジュール”、“生活を整える”、“気づいた人から学び伝える”も参加者の皆さんの心に残せたのではないかと思います。
この気づきを生活に活かし、継続してつながっていけるよう、これからも様々な企画を行っていきますよ!

ということで、次回以降の企画のご紹介です!

次回のオンライン座談会 と応用行動分析セミナー

次回のオンライン座談会は6月24日(水)10:00〜11:30、発達子どもアカデミーの南川悠先生をお招きます。
テーマは「子どもを伸ばす魔法のことばかけ」です。
定員以上の方の参加希望があったため、2回に分けて行う予定です。

初心者にオススメ!

応用行動分析学的子育てのススメ

また、7月18日(土)には、お子さんへの対応に応用行動分析どのように活かせばよいのか、ABAがはじめて!という方向けの講座を実施いたします。
応用行動分析学のセミナーを多数開催していらっしゃる、春日小学校校長の朝倉博実先生によります、「応用行動分析学的子育てのススメ」です。
ふくふくプラザ503号室で14:00〜16:00の時間に開催いたします。
また、当日会場にお越しになれない方のために、Zoomでのご参加も可能といたします。
奮ってご応募ください。
7/18(土)応用行動分析学的子育てのススメ〜ABA(応用行動分析)基礎セミナー

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皆さんのご参加、お待ちしております!

2020-06-21 | Posted in blog, オンラインイベントNo Comments » 

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