【 障がいのある人との働き方を考えるセミナー リポート 】
「チャレキッズ事業」では、平成27年4月より1年間を通して、障がいのある子どもたちの未来を描ける地域社会を目指した土台作りを目的にさまざまな事業を行って参ります。その第1弾として、6月4日(木)、福岡アジア美術館、あじびホールにて、障がいのある人たちの就労の場を開拓すべく、企業をはじめ、教育、福祉関係者を対象とした「障がいのある人との働き方を考えるセミナー」を開催いたしました。当日は定員の100名の方にお越し頂き、皆様の関心の高さを感じる事ができました。
セミナーでは、最初に発達教育センター所長の森 孝一氏からご挨拶をいただき、そしてチャレキッズの成り立ち、目指す事業の説明をさせて頂きました。
そして、徳永豊氏(福岡大学 人文学部 教育・臨床心理学科 教授)による「多様性を包み込む共生社会における就労支援」と題した基調講演を行っていただきました。
専門家による学術的なアプローチから「多様性」の意味や成り立ちをご紹介頂き、会場の皆さんに問題提起を投げかける形で興味を喚起していただきました。
その後は、吉村高信氏(中華料理八仙閣 総料理長)、那波和夫氏(株式会社障がい者つくし更生会 専務取締役)のお二人に、「障がい者雇用による気付き」と題した事例報告を行っていただきました。八仙閣では、2003年から障がい者雇用を進めており、会社の方針の中には「地域への貢献」を掲げていらっしゃいます。会社として「障がい者にも活躍の場を!」という社長の思いのもと雇用を始め、現在7人の障がい者が調理補助や配膳、食器洗浄、POP制作などの仕事に従事していらっしゃいます。吉村氏のメッセージは、とにかく一緒に働き、一緒に失敗しながら学ぶ姿勢が企業の成長を促す、というものでした。
事例紹介の2人目の那波 和夫(株式会社障がい者つくし更生会 専務取締役)氏の
株式会社障がい者つくし更生会は、従業員総数40名のうち33名が障がい者(知的・精神・身体障がいなど)という民間企業。春日大野城リサイクルプラザの不燃性一般廃棄物処理施設全般の運転・管理業務を行っています。那波氏は、平成21年より現職に就き、障がい者の理解・支援、共に働ける環境づくりを実践し続けていらっしゃいます。同社は平成25年11月出版「日本でいちばん大切にしたい会社4」で紹介されるなど、全国的にもその取り組みに注目が集まっている企業です。
那波氏からは、福祉、障がい、そんな大きな課題に向き合ったつもりはなく、いかに会社の業績を上げるかを考えた。その結果、「相手を知る、人を育てる力を培う」という事が、会社の業績向上に繋がるという事を知った。やっている事は一般企業も障がい者雇用も同じ事だ、というメッセージを頂きました。
それぞれの登壇者の話が熱いものだった為か、その後のパネルディスカッションでは、多くの質問が寄せられ、すべての質問を紹介出来ないほどでした。その様子を観て、急遽参加者の皆さん同士で10分間のトークセッションを設け、登壇者の話を受けての感想の共有をしていただきました。
パネルディスカッションでは、登壇者3名に加え、チャレキッズの発起人でもある障がい者アスリート、永野 明がモデレーターとして参加、さらに突っ込んだ障がい者雇用についての論議が交わされました。
セミナーのスタートから徐々に熱を帯び、参加者との一体感も増し、最終的には多くの方の思いを聞く事が出来た本セミナーは、これから取り組むチャレキッズ事業への期待の大きさを感じる物でした。お配りしたアンケートも沢山ご記入いただき、同時に募集したお仕事体験企業への関心も高く、今後の活動の糧となるものでした。
今後「チャレキッズ」では、障がいのある子どもを対象に職場体験を企画、さらに自然体験教室や保護者向け、教員向けのセミナー等も企画しております。障がいのある人たちの雇用促進にご興味のある方、企業の皆様のご参加とご支援を今後ともよろしくお願い申し上げます。