福岡発!発達障がいや知的障がいのある子ども達の夢を叶えるプロジェクト

【リポート②】チャレキッズ・ジョブクエスト特別企画《 ゲームリテラシー〜ゲーム依存にならないためのガイドラインづくり〜》

わくわく!eスポーツ体験会(^ ^)

午前中の谷川氏と長瀬氏のお話に続き、(リポート①はこちら)午後からはeスポーツを体験会&その取り組みについて学ぶ時間とした。

今回、eスポーツの体験にお力をお貸しくださったのは、福岡eスポーツ協会のみなさん。
ゲームの「ぷよぷよ」を設置して、みんなで対戦型のゲームを楽しんだ。
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パネルディスカッション

50分ほどぷよぷよを楽しんだあと、福岡eスポーツ協会の中島賢一会長とオンラインでテレビ電話をつなぎ、会場のみなさんとパネリスト(長瀬氏、谷川氏)のみなさんとでパネルディスカッションを行った。
ファシリテーターはチャレキッズの中嶋。
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eスポーツの定義とは?!

スタートは会場から集めた質問に答えるところからとなった。
まずはeスポーツに関する質問から

・eスポーツを始める上で必要なものはなにか?
・参加できる年齢に制限はあるのか
・そもそもeスポーツとは何か、定義はあるのか。
・eスポーツを職業にすることはできるのか?

これに対し、中島会長は一つ一つ、丁寧に答えてくれた。

>>>>>>>>>中島氏

・スポーツには本来「レクレーション」という意味合いがあった。そこには、競い合う、というだけでなく、人々が交流し「楽しむ」「繋がる」などの要素があることが特徴だ。
・eスポーツは、スポーツが苦手な人や高齢の方、障がいなどで機能的なハンデのある方でも、同じようにゲームを通じて競い合ったり、楽しめたり、仲間と繋がれたりする。それがeスポーツの魅力であり、我々が目指すものだ。
・オンラインだけでなく、オフラインでの繋がりを得ることで、ルールやマナー、チームワークや尊敬や賞賛などのソーシャルスキルを磨く場としても機能する。
・今後、eスポーツが国体競技として、オリンピック競技としても注目されていくことを考えると、eスポーツを真剣に教育に取り込んでいくことを考えないといけない。そのためには、eスポーツを通したゲームリテラシー教育がますます必要となる。
そういった意味で、eスポーツの義務教育化が必要だ。

eスポーツについて、懐疑的、否定的に考えていた多くの参加者が、教育としてのeスポーツという視点を中島会長が持っていたことに驚いた様子だった。

このお話を受けて、谷川氏、長瀬氏の感想は、

>>>>>>>>>谷川氏

まずは、この場の議論が想像以上に深いものになっていることに喜びを感じる。
eスポーツへの印象も変わった。
先程の体験会では、初めて会ったであろう参加者同士がコミュニケーションを取り助け合っていた。
あっという間に社会的な交流がお隣同士で始まっていたことが印象的だった。
家で一人でやって完結する場合もあるが、こうやってオフラインでつながってやることで、相手を観察することができる。
「あいつはこういうときこうやってたな」と言った観察眼も養われる。
ただ、ネガティブなイメージも依然としてあるのが事実。
ゲームという響きだけで引いてしまう保護者も多い。とくに、依存症と発達への特性が併存している精神疾患の患者さんの場合、
“回避の場”としてゲームが利用されている場合も多い。ドイツの認知行動療法などで実証い実験も進んでいるが、まだ日本では導入段階ではない。
顕在化していない、ゲーム依存の対象者はますます増えていくだろう。
そんな中、普及されるeスポーツ側が、依存に関するリスクについても伝えて頂けたら波及効果も大きいと思う。

>>>>>>>長瀬氏

不器用な子どもたちや、発達に特性を持った子どもたちには、スポーツは難しい場合もある。
でも、eスポーツであれば参加できる。そこには社会性を身につけるという意味でも大きな期待が持てる。
ただ、そこには、ルールがあって、マナーがある。
共に戦うためには、相手に伝えるための国語力も必要となってくる。
ゲームを無秩序に使っている状態をゲーム障害と呼んでも良いのかもしれない。
そして、「スポーツ」として認めていくためには、そこにはコーチがいて、練習があって、栄養をとって、睡眠をとって、学ぶ姿勢が必要。
そうすることで、依存のループに入りそうな若者を社会と接続していくことができればと思う

依存傾向にある家族や近親者への声かけはどのようにすればよいか?

会場からは午前中の講義を受けて、長瀬氏、谷川氏への質問も寄せられた。

この質問に、

>>>>>>>>>谷川氏

友人や知人に依存症の方がいる場合、そのご家族へ、まずは、心理教育教育から始める。

当人にどんなことが起こっているのか、社会的にどう行った影響を及ぼすのかということを学んでいただく。

とってはいけない対応というものがいくつかあるので、それを知っていただく。

例えば、借金を替わりに返してしまう、
状態に対して一喜一憂する、など。

参考資料として、いくつかの本を紹介している。
ぜひ、それを読んでみてもらいたい。

また、依存の当事者による自助グループと家族会などに足を運ぶのも良いと思う。

依存していた人、その傾向のある方が、そこから抜け出せたという事例があれば教えて下さい


>>>>>>>>>長瀬氏

ぼくはハイパーレスキューの隊員。
周りが手を出せない、精神科のドクターもお手上げという時に出動する。
だから、それ以前にSOSが来ることはない。
ただ、依存傾向という状態でいうと、ファミレスなどでyoutubeを観ている子ども。
ぼくから言わせると、その時点でほぼアウト。
「静かにしているから」という理由であたえているのだろうが、僕から言わせると「スマホの力をかりず、しつけでなんとかするべき」と思ってしまう。

>>>>>>>>>中島氏

たまたま、知人の女性で、仕事につまづいて鬱になり、オンラインゲームにハマリ、昼夜逆転してしまったという方がいた。
すべての事にやる気がなくなり、ずっとゲームをしているという。
そうすると、だんだん人前に出たくなくなっていく。「無職です」と言いたくない。
ぼくはたまたま妹さんと知り合いで、ゲーム大会のイベントに連れ出した。
そうすると、少しずつだがオフラインでの人とのコミュニケーションが生まれてくる。
現在はまだ途中ではあるが、彼女が抜け出すキッカケを与えられたら良いなと思う。

大原学園の学生さんたちへ。

ここで、大原学園のeスポーツ部の皆さんからも話を伺ってみたいと思います。
ゲームへの関わりや、eスポーツ部の活動、目的など、教えて下さい。

>>>>>>>>>eスポーツ学生

実はぼくも高校3年生のとき、依存になっていた経験がある。
一つのゲームにのめり込み。学校に行けなくなっていた時期もあった。
eスポーツ部活に入ってわかったのは、「オフラインでの関わりが増えると、同じゲームをしている人たちとの関係性が強くなり、
オンラインに対する執着が薄れていく」ということだ。
eスポーツ部の目標は、eスポーツの普及だが、ゲームで終わらせるのではなく、スポーツと同じように熱を持ったものとして盛り上げていきたい。

他の方からもお話伺えますか?

僕がネットゲームを触りだしたのは小学生前から。
のめり込んだのは中学、高校のとき。学校に行かずに夜中までやっていた。
学校に行っても、帰ってきてゲームをして寝る、という生活。
この活動を始める前は、またそんな生活になるのでは心配があったが、eスポーツの中身をみてみると、他のスポーツと同じように、仲間とのかかわりや、練習、研究、コミュニケーションが必要となる。
昔は、18時間ゲームやっていたが、それに比べたら、今は三分の一程度だ。
ゲームの依存から抜け出せたきっかけはアルバイト。
そこでの社会との接点があったから。

質問
eスポーツというところから、依存性があるのではないか、衝動性が強まるのではないか。

>>>>>>>>>大原学園eスポーツ部顧問、作花先生

我々は教育機関なので、教育に結びついているかを考える必要がある。
活動に関しては、勉学や授業への出席の要件が整っていることを条件としている。
そして、活動内容は自主的に決めて実行するようにしている。
eスポーツはあくまできっかけ。
様々な経験を積める場所を作っている。
つい先日はFM福岡でeスポーツ部の活動を報告した。
ラジオで自分たちの活動について話す。これだけでも貴重な経験だ。
部は活動の場所を提供している。場所を提供するということは、きっかけを与えること。
そこをどう使っていくかは学生が考える。

発達に特性のあるこどもたちについて 

ここで、長瀬氏から「発達に特性のあるこどもたち」について、お話がありました。

>>>>>>>>>長瀬氏

今この場でやっている議論はひとつ踏み込んだ議論をしている。
不登校のセミナーなどに行くと、充電期間という捉え方があり、「当時は人付き合いが苦手だったが、充電期間を経て復帰できました」という話が多い。
しかし、「特性のあるこども」のばあい、一定期間充電期間を経たからといって戻ってくることはない、と経験上思っている。
戻ってこれたのは、特性がなかった子どもたち。
特性のあるこどもたちにはそれなりの手立てが必要だ。
抜け出せなくなった場合は、学術的な知見と臨床経験から、その子にあったやり方で、「問題行動の消去」につながるように対応していく。
「みんなちがってみんないい」と言って、フリースクールなどが流行っているが、僕からすると、ビニールハウスを先延ばしにしているだけ。
その先はぷつりと支援が切れる。そうなってから自立の手立てを考えても遅い。
何もせず、「あと2年したら、、環境が変われば、立派なお兄さん、お姉さんになれる」、と思ったら大間違い。
そういう逼迫した環境に当人や保護者があることを、eスポーツを普及していく皆さんに知ってもらいたい。

シェアタイム 

ここまでのパネルディスカッションを聞いて、それぞれが思うことを共有するシェアタイムを設けた。
発達に特性のある子どもたちが、どうすれば依存にならずに済むのか。
そういったお話も当事者やその保護者、eスポーツ部の学生さんも含めて話してもらった。

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ゲームとどのように向き合っているか、という話。
体験談、目標などについて、お話が出た。
ゲームにどうしても負のイメージが合ったので、そのへんの意見交換を行った。

僕らも楽しそうだな、と思う半面、無秩序になりがちだなと思った。
そういったリスクを踏まえて、eスポーツと付き合っていくには何が大切か、素晴らしいコミュニケーションなだけに、
依存についての知識やメッセージ、コーチングの手段なども普及側に身に着けてもらいたい。

学生時代、一日18時間をしており、抜け出せなかった。
社会参加のキッカケとして、アルバイトを始めた。
発達障害のこどもたちは能動的にやることが苦手だったりする。
そこをどうすればよいのか、という話となった。
ただ、eスポーツに否定的だったが、今日の話を聞いて前向きになった。
コーチする人がいて、ルール、社会性、繰り返し指導、手立てがあると いいのかもしれない。

eスポーツの良い部分と不安な部分について話題が広がった。
プロゲーマーとまでは行かなくても、スポーツという形でしっかり関わることで、学びとなる。
また、ゲームを通し、海外の子たちとの交流で英語が身につくこともある。
ただし、スラングも入ってくるので、大人たちが指導していくなどの介入が必要。
そこはどの分野でも同じかもしれない。
インターネットの中にはきれいなものがたくさんある。
幼い子達が使うことで、現実との違いがつきにくくなる。
環境をしっかり整えておくことが大切なのではないか。
特に、特性のあるこどもたちは、誤学習をするとやり直しが難しい。
ADHDの傾向のある子どもへは、メディアとの関わりを減らすことで、多動傾向を減らす事ができるとも聞く。
特性をもった子供を育てる親としては、、、、ゲームの週間は望ましくないと思ってしまう。

実に活発な意見がかわされた。
このパネルディスカッション、そして、シェアタイムに大原学園eスポーツ部のみなさんがいてくださったことの意味はたいへん大きかった。
なんと言っても、保護者や我々にとって、まさに過去、現在、未来においてeスポーツに関わる若者の意見が経験が聞けたことが嬉しかった。
参加した保護者も自分のこどものことを伝え、若者に知ってもらう良い機会になったのではないか。
最後に、パネラーの皆さんから感想をもらった。

パネラーのみなさんより一言 

>>>>>>>>>長瀬氏

ゲームセンターが昔存在した。
そこに行くと不良がいた。
100円玉持っていくとカツアゲされた
ゲームセンターで遊んでいる。もともとアングラ、暗そうで、
あの時代は依存症という言葉がなかった。
100円がないとできない
インターネットが大きな要因。
ネットでつながることがいつでもどこでも繋がれる、良い面と悪い面がある。
社会がしっかりとコントロールしていかないといけない
どうすれば良い形となっていくかを考えないといけないと思います。

>>>>>>>>谷川氏

今日は内容の濃いものが聞けた。
周囲のeスポーツ論議より深いお話ができたのではないか。
依存からどうやって回復したか、という事に関してのエビデンスはある。
ぜひそういった物を参考にしてもらいたい。そして関連図書を呼んで欲しい。立ち直りに関する成功例はある。
そしてまた、発達に特性のある方々は、誤学習をしてしまうと修正するのに時間がかかるので知っておいてもらいたい。
そしてまた、社会復帰への手がかりは社会的コミュニケーションの中でしか、育まれない。
彼らへの手立てに関して、構造化などが必要であることを認識してほしいなと思った。

>>>>>>>>>長瀬氏

イメージ以上の成果があった。
中島会長とは、今度会いましょう、という話をした。
第二段をやりますので、ご期待下さい。

>>>>>>>>>作花先生/h4>

何事においても、良い意見と悪い意見が両方出る、これがが良い。
話題になっている証拠だし、議論する価値のあることだということ。
そして、悪い意見を改善するにはどういった方法ががあるのか、それを学生たちと今後も考えながら活動していきたい。

チャレキッズ中嶋より

eスポーツがこれからますます市民権を得て広がっていくことは、止めようがないし、止める必要もない。
ただ、オンラインゲームというメディアが発達に特性のある子にあ与える影響は大きく、その対応は多くの方が知っておく必要がある。
しかし、周りに当事者がいない、支援に関わることがない人からすると気づきにくいニーズでもある。
だからこそ、こういった機会を設けてしってもらう努力を当事者、支援者側はする必要がある。
そして、依存へのループからの立ち直りも、依存のループにはまらないための手がかりも
社会との交流によって育めるものだと、みなが共有できたことは大きな収穫だったと思います。
ぜひ、第二弾もやっていきたいと思います。

パネラーの皆さん、参加者の皆さん。、長い時間に渡りましたが、ありがとう御座いました。

2019-07-19 | Posted in 未分類No Comments » 

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