福岡発!発達障がいや知的障がいのある子ども達の夢を叶えるプロジェクト

ジョブスタディリポート② 〜就労に必要な3つのチカラ〜 ATUホールディングス株式会社 岩崎 龍太郎 さん

ATUホールディングス 岩崎 龍太郎さんのお話

続いては、岩崎さんのお話です。
IMG_3366

選ぶという行動ひとつだけで、社会は変えられる。

「良い会社、良い組織」、とは、どういう会社なのか。

売上が良くても、労働環境が悪ければ「良い」と言えるのか?
給料が良くても、地域に負担を掛けている会社が「良い」といえるのか?
そういった「良い」という言葉を「いい」という言葉に変えて、語っていただきました。

いい会社を創る。障がいのある人々が働ける、「出口」となる場所、「企業」をつくる、そういう思いから起業なさったそうです。

そして、今回のテーマ「就労するために必要な3つのチカラ」については、
“障がい者が”ということではなく、以下のような素地のある会社、社会は、「いい」と言えるのでは、ということで以下の3つをピックアップいただきました。
IMG_3365
①挨拶
②返事
③掃除(揃える)

ができる人、できる会社です。

これらができる人、できている会社は「幸せを感じる力」が高い。

☆挨拶:人より先に大きな声で挨拶する。挨拶は人への関心の表れ。人に興味を持つ、という対話のきっかけをつくる行為。

☆返事:「はい」と大きな声で返事をする。はい」は漢字で書くと、「拝」。相手のことを「拝」して、受け取る姿勢の現れである。

☆掃除・整え:掃除を行う徹底的にやる。細かいところまでやっていれば、いろんな事が見えてくる。床も手拭きで行う。気づきを得るために掃
除をしています。

警備の業界で障がい者雇用を促進

岩崎さんは長年、警備業界で勤務して来られました。
警備の業界は大変厳しい労働環境にあるにもかかわらず、利益率などはあまり良くなく、人気の業種とはほぼ遠いんだそうです。
(下から数えて10番目の利益率だとか)

社会保険にも入れない警備会社もあるということで、この業種、業界を良くしたいと、努力されてこられました。
そのための取り組みのひとつが、障がい者の就労促進だったそうです。
現在は、45%のスタッフが障がい者。ほぼ全員正社員。
中には重度の障がい者もいらっしゃるそうです。
クライアントは民間企業中心。行政の仕事は殆どありません。
大濠の花火大会や港湾での警備、博多駅前の陥没事故のときも出動したそうです。
ジョブコーチの4人中、3人が障がい者です。資格を取得し、コーチに当たっています。
同じ障がい者なので、気持ちがわかるからです。
中には大変まじめで、「通してはいけない」と言われたら、議員が来ても通さなかった、という逸話を持つ社員さんもいるそうです。
それが警備の品質を生む。障がい者は警備の仕事に「向いている」という。
難しい煩雑な警備の仕事も、一つ一つの動きを分解して、教えていく。人を止める、車を止める。複雑なようでも分解して行くことで、理解できるようになるそうです。

MBAでは人は幸せにはならない

以前勤めていた会社で、何人かの従業員が業務中に亡くなったそうです。
原因は労働環境でした。「会社が人を殺してしまった。自分もその行為に加担していた」。そう岩崎さんは思ったそうです。
なんとか状況を変えたいとMBAを取得、幹部となり、業績アップに貢献、社員の収入は上がるものの、労働環境改善までには及びませんでした。
それどころか、会社が病気で苦しんでいる従業員の社会保険を外す、という出来事なども起き、悩みに悩んだ末、現在学んでいる法政大学の坂本教授に訪ねたそうです。
ダウンロード (10)

「どうしたら警備業界で障がい者就労は進まないのでしょうか?わたしはどうすればよいのでしょう。。。。」
すると、坂本教授は「警備業界は障がい者雇用を4%〜5%までできるはずです。働けない障がい者は寿命が20年短いと統計で出ていますよね。さて、そんななか、御社では何人の障がい者を雇用されていますか?」

間違っているとは思っていても抗えない、売上至上主義の企業風土の中で、人を大切にしない経営に加担してしまっている自分。
従業員は、労働力は、「コスト」である。「景気の調整弁」である、そんな価値観で働いていた自分に突きつけられた、坂本教授の言葉に突き動かされました。
「この先、何人人殺しをすれば良いのだろう」「もういやだ、人を活かす経営がしたい」。
そうして、岩崎さんはATUホールディングス株式会社に合流し、障がい者雇用を促進する警備会社を創ることになります。

 「知る」という姿勢の大切さ

人をコストダウンとして見ない。そう行った会社や組織を増やしたい、そんな思いで合流したATUホールディングス。
経営を行いながら、障がい者雇用にもチカラを入れました。そして、坂本教授のもとでの学びも続けました。
坂本経営学で3分の1が名著や名言を音読するそうです。
その中でも岩崎さんが深く感銘をうけた言葉の一つ
島田療育園(現・島田療育センター)を創立した初代園長 小林 提樹 氏の言葉

この子は私である。
あの子も私である。
どんなに障害が重くとも
みんなその福祉を守ってあげなければと
深く心に誓う。

ここで言う、「福祉=幸せ」という意味。
「福祉」は弱者保護と思われていますが、本来の意味は「幸せ」という意味なんです。
IMG_3369

また、社員の70%を障がい者で構成する、日本理化学工業の創業者、大山 泰弘氏のことばも紹介されました。
福祉施設にいれば、楽して、ごはんも食べられるのに、どうしてこんなに一生懸命働いてくれるのだ。それをお寺のお坊さまに聞いた所。

「導師は人間の究極の幸せは
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
人から必要とされること
の4つと言われました。
働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。
私はその愛までも得られると思う。(会長 大山 泰弘)」

人は役に立ちたい、誉められたい、必要とされたい、それによって「幸せ」を感じるからです。
だから私は「あなた、社会の役にたってますよ」と言ってあげられるようにしたい。
企業に勤めていて、役に立つというのは、その仕事で黒字が出ている、ということです。
なので、私は、障害者就労で黒字が出せる企業、いわゆる「出口」を先に作ることに力を注いでいます。

対話を通して、情報を積み重ねていく

そんな学びを得ながら、現場では発達障害のある社員や知的障害、精神障害のある社員の皆さんの就労に向けての訓練を行います。
中には、現場に出られるようになるまで、数年かかる方もいるそうです。
それでも、見放さす、しっかりと向かい合って、何が仕事を行う上での困難さにつながっているのかを丁寧に紐解いていくそうです。
それを「ひっかかり」という言葉で表現されていましたが、その「ひっかかり」が分かって、解いてあげると、面白いほど、スムーズに業務を行うことができるようになるそうです。

とある、社員の方の場合、「診断名」にとらわれてしまっていた苦い経験があるそうです。
診断名ではADHD(注意欠陥・多動性障害)でしたが、どうも様子がおかしい。
理由がわからず、休んだり、早退したり、サボったりしている。
その様子を、毎日記録をとり、社員と共有し、積み重ねていって、出た答えは「ADHD以外に原因がある。それを調べに病院で診てもらおう」
ということでした。そして、出た結果はADHD以外に「てんかん」がある、というものでした
日々のコミュニケーション、状況、行動、結果 丁寧に記録し、振り返っていく。
そうすればどんな方も働けるようになります。
今後は本人の日記も入れていこうかと考えているそうです。

こうして、人を大切にする経営をしていくと、継続的に黒字を出していけることが分かっています。
まだまだ経営が楽な状況ではありませんが、おかげさまでクライアント様に選んでいただき、黒字経営を続けてこれております。
黒字になって社会に貢献すること。それでようやく、ひとは「役に立っていること」を知ることがでるのです。
それを、彼らに教えてあげることが大切です。
そう、岩崎さんはおっしゃいます。

続いては、パネルディスカッションに続きます。

次回のジョブスタディは、2018年8月17日(金)15:00〜18:30

次回のジョブスタディも熱い内容でお届けします!
テーマは「人を活かす経営とは」です。
障がい者就労を促進する2つの企業の実践とそのノウハウを伺います。
奮ってご参加ください。
詳しくはイベントバナーをクリック!!⬇⬇⬇⬇
スクリーンショット 2018-07-21 11.20.16

2018-08-05 | Posted in スタッフブログ, セミナーNo Comments » 

関連記事

Comment





Comment